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6.ボッタくってナンボ
※今回は、会計用語がちょくちょく出てきます。詳細は、そのうち財務分析入門でご説明いたします。
前回では、「株式会社の至上命題は、利益をあげること」だと述べました。
単純に「利益をあげる」といっても、利益対費用などを十分に考慮する必要があります。今回は、会社がどのようにして利益をあげるのがいいかを考察してみましょう。
ボッタくりって消費者から見るといやですね〜
特に、こんな不景気の状態では一円でも安く買い物をしたいのが人情ってやつです。
しかし、売る側からは、とことんボッタくって商売するほうがイイに決まってます。さらに、売る側(企業)の一部(株)を買う立場から見ると、ボッタくり企業こそが投資する価値のある会社になります。
※今回は、会計用語が若干出てきます。以下に各用語の説明を補足として追加しておきます。
※各なんちゃら利益などの解説
売上高 : 商品やサービスを売って得たカネ
売上総利益 : 売上高から、売上原価(材料費、製造にかかった人件費)を差し引いたカネ
営業利益 : 売上総利益から、販売、一般管理費を差し引いたカネ
経常利益 : 営業利益に、本業以外の損益を加えたカネ (本文に出てきません)
税引き前当期利益 : リストラ費用や、固定資産などの売却などにかかった費用を入れたカネ (本文に出てきません)
当期利益 : 税引き前当期利益から、法人税を差し引いたカネ |
次に挙げる2つの会社のどちらが優れているかを考えてみてください。
どちらも、資産規模が1000億円の会社で…
1. 営業利益が30億円だった
2. 営業利益が50億円だった
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どうでしょう?恐らく、ほとんどの人は、答えを「2.」だと答えるでしょう。
しかし、本当の答えは…「これだけの情報では答えなど分からん」です。あ、石はなしね。
では、もう少し情報を加えてみて…
どちらも、資産規模が1000億円の会社で、本業以外の利益を得ていない
1. 売上高が70億円、営業利益が30億円だった
2. 売上高が200億円、営業利益が50億円だった
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こうなると、答えは難しくなります。単純に営業利益の高い方が優れているわけではないのです。
1. の会社は、売上高に対する利益率は… 30億/70億=42.9% であるのに対し、
2. の会社の利益率は… 50億/200億=25.0% だからです。
私個人の考えですが、単純に利益をあげている会社よりも、売上に対する利益の効率が高い会社の方が、価値が高いと考えております。理由は簡単で、
ですね。ここ数年ほど(2004年11月現在)は、ほぼ全ての企業において業績が回復してきていることが報じられています。最近の決算などを見ていると分かるように、大体において、同じセクターの売上は同時期に向上することが多いです(2004年11月:ちょっと前では海運とか、最近では自動車業界かな)。
しかしながら、人間の数が有限である以上、需要には限界があります。同時に売上が上がった後に起こると予想されることは、
です。どこかの企業の売上が上がれば、どこかが下がる状態ですね。売上をキープするには、品質を向上させるための研究開発費、広告費などが必要とされるため、カネを持っているほど強い状況になるでしょう。そうなると、利益率の高い、いわば「疲れにくい」会社でないと生き残るのは難しいでしょうね。
薄利多売を心情としていたダイエーが崩壊したことは、利益率が要となる時代が到来した象徴かもしれません(まぁダイエーの崩壊は、不動産赤字や手の広げすぎなどの要因の方が大きい気がしますが)。
なお、いわゆるPER(株価収益率)などに用いられる収益には当期利益が用いられますが、実際には当期利益には本業以外の収益や損失が含まれるために、本業からの収益力を見るには不適格な数字です。本業からの収益力を見るには、売上総利益を用いることが多いですね。
簡単な利益率の出し方としては、
といったところでしょうか。売上総利益を営業利益に変えてもいいですね。こうすると、販売や管理などにかかる費用も含めることができます。
まぁ1年だけの利益率を見ても、はっきり言って意味がありませんので、過去数年分のデータを比較する、さらに同業他社と比較して競争に強いか弱いかを判断してください。
今回の結論としては…
ってことですね。
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